MRI過去問解説

第15回 MR専門技術者認定試験 解答と解説

radio-neko

MR専門技術者認定試験って問題はあっても、解答や解説ないですよね。
そんな貴方のお悩み解決しましょう!!

解答・解説に保証はありませんので、参考程度にお願いします。
また間違いや、ご指摘ありましたらご連絡お願いします。

図や臨床画像に関しては、過去問を参照してください。

他の過去問の解答と解説はこちらへ

Contents
  1. 第一部
  2. 第二部

第一部

1)正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.円板状半月板は外側半月板に好発する.
2.キーンベック(Kienböck)病は舟状骨の疾患である.
3.テニス肘は主に尺側手根伸筋の起始部の疾患である.
4.TFCC(triangular fibrocartilage complex)損傷は手関節尺側に好発する.
5.SLAP 損傷(superior labrum anterior and posterior lesion)は股関節唇の上部に好発する.

答えと解説

1.○ 円板状半月板:本来の半月板は三日月状だが、円板状半月板は生まれつき丸く、分厚くなっている。ほとんどが外側で発生する。

2.× キーンベック(Kienböck)病は月状骨が潰れて扁平化する病気

3.× 短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じる

4.○

5.× 上方関節唇損傷といい、肩関節で生じる

2)正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.基底核や視床は灰白質である.
2.下垂体は血液脳関門が存在する.
3.脳の髄鞘化は2歳までにすべて完了する.
4.高濃度酸素を投与していると SWI(susceptibility-weighted imaging)で静脈を過大評価することがある.
5.高濃度酸素を投与していると FLAIR(fluid-attenuated inversion-recovery)で脳溝が高信号になることがある.

答えと解説

1.○ 大脳は基本的に外周部が灰白質であるが、大脳基底核や視床は灰白質

2.× 存在しない

3.× 20年程度経って完成する

4.× 過小評価することがある

5.○

3)正しい組み合わせはどれか.2つ選べ.

1.肝細胞 ——————— 貪食細胞
2.肝区域 ——————— Couinaud の分類
3.クッパー細胞 ————- 胆汁生成
4.ミエリン鞘 —————- 肝動脈,門脈,胆管
5.肝右葉と肝左葉の境界 — Cantlie 線

答えと解説

1.× クッパー細胞:肝臓を構成する細胞
貪食細胞:貪食作用をもつ遊走細胞の総称で,好中球,好酸球,マクロファージ,樹状細胞などがある

2.○

3.× クッパー細胞:肝臓を構成する細胞

4.× ミエリン鞘(髄鞘):神経細胞の軸索を取り囲んでいる物質であり、絶縁体の役割りをしている。 ミエリンは神経の電気信号が身体の他の部分へ伝わる速度を速る。
グリソン鞘:門脈と肝動脈、胆管の3つは結合織によって束ねられており、それをグリソン鞘と呼ぶ。

5.○

4)正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.左精巣静脈は左腎静脈に合流する.
2.外腸骨動脈は大腿動脈に移行する.
3.右椎骨動脈は大動脈弓から分岐する.
4.後下小脳動脈は脳底動脈から分岐する.
5.上腸間膜静脈は脾静脈と合流して門脈になる.

答えと解説

1.○

2.○

3.× 右鎖骨動脈から分岐

4.× 椎骨動脈から分岐

5.○

5)ガドリニウム造影剤に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.T2 短縮効果がある.
2.腎機能障害があっても問題なく投与できる.
3.体内に沈着したガドリニウムは洗い出される.
4.脳内では基底核と小脳歯状核のみに沈着する.
5.マクロ環状型は線状型のものよりも体内に沈着しやすい.

答えと解説

1.○ T1値もT2値も短縮する

2.× eGFRが30ml/min/1.73m2未満ではNSF発症の危険性が高い

3.×

4.○

5.× 線状型の方が沈着しやすい

6)スピン量子数が 1/2 の核種はどれか.3つ選べ.

1.1H
2.2H
3.23Na
4.31P
5.129Xe

答えと解説

1.○

2.× スピン量子数は1

3.× スピン量子数は3/2

4.○

5.○

7)電磁誘導の微分方程式を以下に示す.V に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.
V は誘導起電力,A は比例定数,M は磁化,t は時間,𝜔0 はラーモア周波数とする.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.𝑴に比例する.
2.𝜔0に比例する.
3.z 軸成分は 1 である.
4.x 軸成分は正弦波である.
5.y 軸成分は正弦波である.

答えと解説

1.○

2.× 𝜔0の2乗に比例

3.○

4.○

5.× y 軸成分は余弦波

8)正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.縦緩和時間 ≦ 横緩和時間
2.縦緩和速度 ≦ 横緩和速度
3.J 結合はスピン-スピン結合とも呼ばれる.
4.縦緩和はスピン-スピン緩和とも呼ばれる.
5.横緩和はスピン-スピン緩和とも呼ばれる.

答えと解説

1.× 縦緩和時間 ≧ 横緩和時間 一般に横緩和の方が縦緩和よりも早期に終了するが、純粋のみがイコールの関係

2.○

3.○

4.× T1 緩和はスピン-格子緩和

5.○

9)MR spectroscopy に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.代謝物の量はピーク高を計測する.
2.T2 値の短い代謝物はピーク幅が広くなる.
3.代謝物のピーク値(ppm)は静磁場強度に依存しない.
4.NAA(N-acetyl aspartete)は神経細胞の数が減少すると上昇する.
5.PRESS(point resolved spectroscopy)法は STEAM(stimulated echo acquisition mode)法より TE を短くできる.

答えと解説

1.×

2.○ ピーク幅はT2(T2*)に反比例する

3.○ ppmは不変

4.× 神経細胞の数が減少すると減少する

5.× STEAM法の方がTEを短く設定できる

10)受信コイルに関する正しい記述はどれか.2つ選べ

1.Birdcage コイルは表面コイルとして用いる.
2.垂直磁場 MR 装置は solenoid コイルが用いられる.
3.Loop コイルのコイル面は静磁場方向と直行するように配置する.
4.Array コイルの信号強度は個々のコイル径が大きくなると弱くなる.
5.LP(linear polarization)コイルの信号雑音比は CP(circular polarization)コイルの 2 倍である.

答えと解説

1.× ボリュームコイルとして用いる

2.○

3.× コイル面と静磁場方向は水平になるように配置する。コイル軸は垂直になるように配置する。

4.○

5.× 信号が2倍で、SNRは√2倍となる

11)k 空間の充填方法を以下に示す.正しい記述はどれか.2つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.(a)は(e)よりも体動に強い.
2.(d)は(a)よりも撮像時間が短い.
3.(b)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい.
4.(c)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい.
5.(e)は(c)よりも圧縮センシング再構成に向いている.

答えと解説

1.× (e)は体動に強いk-spaceの埋め方(ラジアルスキャン)

2.× TEは短くできるが、撮像時間は変わらない

3.× ハーフフーリエ法なので撮像時間は短くなる

4.○ パラレルイメージングなので位相方向のFOVは小さい

5.○ 圧縮センシングを応用した“GRASP(Golden-angle RAdial Sparse Parallel)がある

12)脂肪抑制法に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.拡散強調画像には必要不可欠である.
2.モーションアーチファクト低減に寄与する.
3.Dixon 法の opposed phase 画像は脂肪組織が低信号になる.
4.CHESS(chemical shift selective)法は低磁場装置に不向きである.
5.STIR(short TI inversion recovery)法は脂肪の信号を選択的に抑制する.

答えと解説

1.○

2.○

3.× 水と脂肪が混在しているボクセルの信号が低下する

4.○

5.× STIR法は非選択的脂肪抑制法

答えは2つとなっているが、3つ正解な気がします

13)正しい記述はどれか.3つ選べ

1.SWI は位相画像にローパスフィルターを施す.
2.Synthetic MRI は脂肪抑制画像を取得することができる.
3.フーリエ変換は deep learning によって置換することができる.
4.MR fingerprinting では撮像パラメータを撮像毎にランダムに設定する.
5.CEST (chemical exchange saturation transfer) MRI は MT(magnetization transfer)効果を利用している.

答えと解説

1.× ハイパスフィルターを使用して、組織の磁化率差以外の低周波成分を除去する

2.○ Synthetic MRIは一回のスキャンデータからT1値、T2値、プロトン密度の定量を行う。その定量値を用いて任意のTR、TE、TIから様々なコントラスト強調画像を作成する

3.○

4.○ TRとFAを疑似ランダムに印加し撮像する

5.× CEST(化学交換飽和交換)は高分子を構成する特定の化学シフトをもち、化学交換可能なプロトンが対象。
MT効果は全ての高分子が対象となっており磁化移動と化学交換の両方が対象となっている。
ほぼ同じようなことだとは思いますが、厳密には違うと思うので×にしました。

14)受信バンド幅を広げたときの影響に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.サンプリング時間は延長する.
2.化学シフトアーチファクトは低減する.
3.撮像可能なスライス枚数は増加する.
4.モーションアーチファクトは顕著になる.
5.SNR(signal-to-noise ratio)は向上する.

答えと解説

1.× サンプリング時間は短縮する

2.○

3.○

4.× モーションアーチファクトは減少する

5.× バンド幅とSNRは反比例するので低下する

15) 下図より各パルスシーケンスの撮像時間(1 スライスあたり)で正しいのはどれか

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用
答えと解説

答えは3

16)高速スピンエコー法にてTR 5000ms,ETL 15,Echo space 15ms,Matrix size 256×256のlinear収集で実効TEを135msに設定したとき,撮像可能な最大スライス枚数はどれか.

1.18
2.20
3.22
4.24
5.26

答えと解説

5000/(15×15)=22.222
よって答えは3番の22

17)Compressed sensing MRI に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.収集データを間引いて画像を圧縮する方法である.
2.k 空間をコヒーレント(coherent)にサンプリングする.
3.MRA や MRCP といったコントラストの高い画像に有用である.
4.ラジアル法やスパイラル法などの非直交座標系にも応用できる.
5.スパース性が高いとは画像におけるゼロ成分が少ないことである.

答えと解説

1.× CSは少数サンプリングから全データによる画像と同様の画像を作成する方法であり撮像時間を短縮する

2.× k 空間をインコヒーレント(in-coherent)にサンプリングする

3.○ MRAやMRCPはスパース性が高い。CSの特性として観測データのスパース性が高いものほど、つまり目的とする画像のコントラストが高いほど有利となる

4.○ GRASP(Golden-angle RAdial Sparse Parallel)はラジアルスキャン法にCSを組み合わせたシーケンスである

5.× ゼロ成分が多いことをスパース性が高いという

18)EPI における歪み改善に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.TE を短くする.
2.Echo space を短くする.
3.位相方向の FOV を小さくする.
4.位相方向のマトリクスサイズを小さくする.
5.周波数エンコード傾斜磁場の印加時間を短くする.

答えと解説

1.× 位相エンコードとTEは歪みに関係しない

2.○

3.○

4.× 関係ない

5.○ RESOLVEなどは周波数方向にk-spaceを分割して信号収集を行うことで歪みを抑えている

19)Parallel imaging に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.比吸収率を低減できる.
2.周波数エンコードの信号収集を間引いている.
3.複数のコイルを間引く方向と直交して配置する.
4.SENSE(sensitive encoding)法は事前にコイル感度マップを収集する.
5.SMASH(simultaneous acquisition of spatial harmonics)法は信号収集した行から間引いた行を推定する.

答えと解説

1.○

2.× 位相エンコード方向の信号収集を間引いている

3.× コイル軸が静磁場方向と垂直であれば構わず、特に制限はない

4.○

5.○

20)アーチファクトに関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.魔法角アーチファクトは撮像断面を変更すると消失する.
2.化学シフトアーチファクトは脂肪信号が高周波側へシフトする.
3.SE 法における拡張期偽同期現象は T1 強調画像で発生しやすい.
4.打ち切りアーチファクトは急に信号が変化する領域で発生しやすい.
5.折り返しアーチファクトは全方向(周波数・位相・スライス方向)に出現する.

答えと解説

1.× 静磁場に対して腱などの長軸が55°を向いているとT1WIやPDWIで高信号になる。撮像断面を変更しても変化しない。ポジショニングを変えることで解決する

2.× 低周波側へシフトする

3.× T2WIで発生しやすい

4.○

5.○

21)クロストークアーチファクトに関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.スライス間隔に依存しない.
2.TR を短く設定すると低減できる.
3.RF パルスの印加時間に起因する.
4.スピンー格子緩和時間に起因する.
5.静磁場強度が高いほど出現しやすい.

答えと解説

1.× スライス間隔が狭いと発生しやすい。

2.× TRを長くすることで低減

3.○ RFパルスを長くして矩形波に近ずけることで対策できる

4.○ TRを長くすることで低減→T1値を早く回復させる

5.○

22)メタルアーチファクト改善に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.TE を延長する.
2.空間分解能を高くする.
3.高磁場装置で撮像する.
4.受信バンド幅を広くする.
5.高速スピンエコー法で撮像する.

答えと解説

1.× TEを短くする

2.○

3.× 静磁場強度に比例してアーチファクトが強くなる

4.○

5.○

23)画像評価に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.Parallel imagingでSNR測定をするには空中雑音法を用いる.
2.表面コイルを用いる場合,SNRと均一性の評価を同時に行う.
3.差分法を用いたSNR測定は装置付属の差分機能を使用する.
4.CNR(contrast-to-noise ratio)が高くなると信号検出能は低下する.
5.空間分解能の評価は等間隔に並んだピンパターンから視覚評価を行う.

答えと解説

1.× 5定点差分法、差分マップ法を用いる

2.○

3.○

4.× コントラストが上がれば検出能は上昇する

5.× 空間分解能の評価は等間隔に並んだプレートを使う。

24)NEMA における歪みの性能評価法に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.長方形ピクセルでも測定可能である.
2.ファントムは円柱形もしくは球形である.
3.距離の測定間隔は45°以下で4 本以上とする.
4.ピクセルサイズは最大保証範囲の1%以下とする.
5.測定値と実寸の誤差割合を算出し,最大誤差を表記する.

答えと解説

1.× 最大保証範囲の1%以下で正方形となるように設定する

2.× 装置の保証範囲が立方体や球型であれば、それと同じ形状と大きさをもつファントムが必要。
汎用性のあるファントムとして内部にリング、穴、ピンなど保証範囲の境界を定義できる構造物を含むものでも良い

3.○

4.○

5.○

第二部

25)IEC 62464-1に準じたMRIの空間分解能測定ファントムとその測定用画像を以下に示す.正しい記述はどれか.3つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.d/Lは2以上とする.
2.(a)はLの10倍以上とする.
3.(b)はスライス厚の2倍以上とする.
4.この画像から得られるのはy軸に沿った空間分解能である.
5.ROI 内の信号値と標準偏差から平均 MTF を測定することができる.

答えと解説

1.× d/Lは0.61〜0.70の範囲

2.○

3.○

4.× この画像から得られるのはx軸に沿った空間分解能である

5.○

26)MRA(magnetic resonance angiography)に関する正しい記述はどれか.
2つ選べ.

1.造影MRAのTEはopposed phaseが望ましい.
2.TOF(time of flight)法はT1値の長い組織が高信号になる.
3.FBI(fresh blood imaging)法は収縮期と拡張期の信号強度差を利用する.
4.TONE(tilted optimized non-saturating excitation)法は流入側から流出側に向かってFAを小さくする.
5.PC(phase contrast)法はVENC(velocity encoding)を超える流速を遅い流速として表現してしまうことがある.

答えと解説

1.× paradoxical suppressionが起きないようにin-phaseで撮像するのが好ましい

2.× T1値の短い組織が高信号となる

3.○

4.× 流入側から流出側に向かってFAを大きくする

5.○ 速度折り返し現象という

27)TOF法にて内径 10mm,最大流速 80cm/secの血管を断層厚 5mm,Flip Angle 50°にて撮像する際,信号強度が最大になるTRとTEの組み合わせはどれか.対象血管のレイノルズ数は2000である.

1.TR 6.25msec, TE 3.5msec
2.TR 6.25msec, TE 5.25msec
3.TR 12.5msec, TE 3.5msec
4.TR 12.5msec, TE 7.0msec
5.TR 25.0msec, TE 12.5msec

答えと解説

答えは1

信号強度が最大となるのは、v=d/TRで撮像断面にある血管内のプロトンが全て入れ替わる時。
v:流速、d:断面厚なので、代入すると
0.8(m/sec)=5(mm)/TRとなり、TR=6.25(msec)
TEは短いほど位相分散が少なくなるので高信号となるので3.5とすると、答えは1番のTR 6.25msec, TE 3.5msec

レイノルズ数(Reynold’s number:Re):無次元
Re=(ρvd)/η
ρ:流体の密度(g/cm3)、d:血管直径(cm)、v:流速(cm/s)、η:流体の粘性率(g/cm•s)
一般にRe<2100なら層流、Re>2100なら乱流とされている。

28)拡散イメージングに関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.拡散強調画像は膿瘍内容が高信号になる.
2.水分子拡散の確率密度分布は生体内で正規分布しない.
3.完全な等方性拡散の FA(fractional anisotropy)値は1である.
4.水の ADC(apparent diffusion coefficient)値は実質臓器よりも低い.
5.DTI(diffusion tensor imaging)の MPG(motion probing gradient)は 3 軸以上必要である.

答えと解説

1.○

2.○

3.× 完全な等方性拡散のFA値は0
FA(Fractional Anisotropy:異方性拡散):水の拡散の異方性の大きさを表す指標で、FA値が高いほど、水の一定方向の流れが強いことを示す。脊髄神経や脳の白質は異方性が強いため、FA値が高くなる。

4.× 高くなる

5.× 6軸以上必要

29)造影検査に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.緩和時間の逆数を緩和能と呼ぶ.
2.SPIO(superparamanager iron oxide)は T1 強調画像で活用する.
3.塩化マンガン四水和物は T2 強調画像にて陰性造影効果を示す.
4.Gd-EOB-DTPA の血漿中の r1 値,r2 値は Gd-DTPA より高い値を示す.
5.ガドリニウム造影剤 0.1mmol/kg 投与時の血中消失半減期はクレアチニンクリアランスが正常の場合約 30 分である.

答えと解説

1.× 別の概念である。緩和時間の逆数は緩和速度。
緩和能は緩和時間短縮物質(造影剤など)が、単位濃度あたりどの程度プロトンの緩和時間を短縮するかという指標

2.× SPIOはT2を強く短縮し信号を低下させることで画像評価をするので、T2WIで活用する

3.○ T1WIでは増強、T2WIでは低下させることによりコントラスト増強効果を発揮す

4.○

5.× 腎機能が正常な患者での血中半減期は1時間前後であるが、末期腎障害患者では35時間程度まで延長する。

30)ASL(arterial spin labeling)法に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.Pulsed ASL 法は 2 種類の反転 RF パルスを用いて流入動脈を標識する.
2.Continuous ASL 法は pulsed ASL 法と比較して撮像部位の MT 効果が目立つ.
3.標識する部位と撮像断面が離れていると局所血流量を過小評価してしまう可能性がある.
4.標識された血液が太い血管内に残ると脳実質の局所血流量を過大評価する可能性がある.
5.RF パルスのプロファイルの精度が低下すると局所血流量を過大評価してしまう可能性がある.

答えと解説

1.× 1回の反転RFパルスで流入動脈をタグする

2.○

3.○

4.○

5.× RFパルスプロファイルの精度が落ちることで目的外の部位に反転パルスがあたり、過小評価になる

31)肝臓の MR elastography に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.双極性傾斜磁場を用いる.
2.鉄沈着の強い症例に有用である.
3.TE(echo time)は加振周波数に依存する.
4.ずり弾性率は弾性体の伝搬波速度と密度から算出する.
5.心拍動の影響で左葉領域の測定値が不正確になることがある.

答えと解説

1.○ MSGまたはMEGという

2.× 鉄沈着することで信号低下を招く

3.× TRを振動周期の整数倍に設定する必要がある

4.○ 物質の硬さと波の伝搬速度には密接な関係がある。硬い物質では波は早く伝わり、軟らかい物質では遅くなる。物質の硬さを表す物理量の1つが弾性率である。物質中を伝搬する波の速度(v)と物質のずり弾性率(剛性率:μ)および密度(ρ)は次式の関係が成り立つ。
v2=μ/ρ

5.○

32)CEST (chemical exchange saturation transfer)イメージングに関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

1.B0 の不均一は画像に大きく影響する.
2.プレパルスとして短時間の飽和パルスを用いる.
3.CEST 効果を表す指標として MTRasym 値がある.
4.健常脳の MTR(magnetization transfer ratio)は白質より灰白質が高い.
5.APT イメージングは可動性蛋白やペプチドに含まれるアミドプロトンを検出している.

答えと解説

1.○ 静磁場の不均一により周波数にズレが生じると、CEST効果に大きな誤差が生じる。撮像の際には精度の高いシミングが必要である。

2.× プロトンの交換に十分な時間を得るため500msec〜数秒の長い飽和パルスをプリパルスとして用いる。

3.○

4.× 白質の方が高い

5.○

33) Aは中心溝である.正しい記述はどれか.3つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.A は前頭葉と後頭葉の境界である.
2.A の前方に一次運動野が存在する.
3.B には一次聴覚野が存在する.
4.B には一次視覚野が存在する.
5.C にはブローカーの言語野が存在する.

答えと解説

1.× 前頭葉と頭頂葉の境界

2.○

3.× 一次聴覚野は側頭葉に存在する

4.○

5.○

34)女性骨盤の T2 強調画像を以下に示す.正しい記述はどれか.2つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.A は筋層である.
2.B は junctional zone である.
3.子宮内膜は閉経後に委縮する.
4.Junctional zone は月経時に描出不良となる.
5.子宮内膜は生理周期の増殖期に最も厚く描出される.

答えと解説

1.× Aはjunctional zoneである

2.× Bは筋層である

3.○

4.○

5.× 子宮内膜は黄体期に最も厚く描出される

35)肩関節の T1 強調画像を以下に示す.正しい記述はどれか.2つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.A の断面は b である.
2.C は鎖骨である.
3.C は肩峰である.
4.D は棘上筋である.
5.D は棘下筋である.

答えと解説

1.○

2.× 烏口突起

3.× 烏口突起

4.○

5.× 棘上筋

36)頭部の T2 強調画像を以下に示す.矢頭(▽)のアーチファクトに関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.増毛パウダーが原因である.
2.歯科インプラントが原因である.
3.コイルの感度不均一が原因である.
4.オーラ(Aura)サインと呼ばれている.
5.磁化率アーチファクトと呼ばれている.

答えと解説

1.○

2.×

3.×

4.○

5.○

37)救急搬入された患者の画像を以下に示す.この患者の症状として最もふさわしいのはどれか.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.右上肢片麻痺
2.右下肢片麻痺
3.視覚野障害(半盲)
4.意識消失呼吸不全
5.構音障害(ろれつ困難)

答えと解説

1.×

2.×

3.×

4.×

5.○

38)男性骨盤の MR 画像を示す.正しい記述はどれか.2つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.図 a は ADC マップである.
2.図bはT1強調画像である
3.この患者は生検を施行したほうが良い.
4.前立腺移行領域に前立腺癌が疑われる.
5.前立腺中心領域に前立腺肥大(BPH)が認められる.

答えと解説

1.× DWI

2.× T2WI

3.○

4.× 辺縁域に疑われる

5.○

39)正しい組み合わせはどれか.2つ選べ.

1.卵巣癌    ― Bridging vascular sign ― MRA 像
2.肝細胞癌 ― Corona sign                ― 拡散強調像
3.動脈解離 ― Pearl and string sign   ― FLAIR 像
4.前立腺癌 ― 神経血管束                   ― T1強調像
5.子宮頸癌 ― Stromal ring                ― T2強調像

答えと解説

1.× Bridging vascular signは漿膜下筋層の所見で、筋層から筋腫への栄養血管がsignal voidとして描出される

2.× Corona signは造影dynamic study

3.× Pearl and string signはMRA

4.○ 正常の神経血管束はT1WIで前立腺の外側後方の小さな円形構造として描出される

5.○

40)下図はJISZ 4951:2017の傾斜磁場出力上限値を示している.正しい組合せはどれか.横軸(ts, eff)は実効刺激持続時間(ms)とする.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用
答えと解説

答えは1

41)一般的名称 永久磁石式全身用MR装置の薬機法上における位置づけとして正しいものはどれか.3つ選べ.

1.設置管理医療機器
2.高度管理医療機器
3.内臓機能検査用器具
4.特定保守管理医療機器
5.放射性物質診療用器具

答えと解説

1.○

2.×

3.○

4.○

5.×

42)下表は JIS Z 4951:2017 の固定パラメータオプション:ベーシック(FPO:B)の上限値を示している.( )の中に入る 正しい組合せはどれか.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用
答えと解説

答えは1

43)以下の記号に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

日本磁気共鳴専門技術者認定機構より引用

1.A は MR 適合を示している.
2.A は MR 画像に影響がないことを示している.
3.B は添付文書を参照してほしいことを示している.
4.B は MR 撮影室入り口に掲示しておくべきである.
5.C は取扱説明書を参照してほしいことを示している.

答えと解説

1.○

2.× 撮像した画像に影響を及ぼすことがある

3.× MR Conditional:あらかじめ定められた使用条件を守る限りにおいて、特定のMR環境においては既知の危険性がないこが実証されている物品を意味している

4.× 必要ない

5.○

44)正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.短期 SAR とは任意の2分間の SAR 上限値として規定されている.
2.SAR は静磁場強度に比例し,高周波磁場強度の2乗にも比例する.
3.成人に高周波照射4W/kg で体内深部温度 1°C上昇が規格上の考え方である.
4.SAR×検査時間で示す最小エネルギー量がリスクマネジメントにより制限される.
5.MR 装置は 140dB より高いピーク音圧レベルの騒音を生じてはならないと規定されている.

答えと解説

1.× 10秒間

2.× 静磁場の2乗に比例

3.○

4.× SAR×検査時間で示す最大エネルギー量がリスクマネジメントにより制限される

5.○

45)クエンチに関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

1.ヘリウムガスは毒性かつ引火性である.
2.永久磁石型 MR 装置でもまれに発生する.
3.MR 室(撮像室)内のドアは内開きであることが望ましい.
4.ヘリウムガス排気口の付近には警告表示板などを設置して注意喚起すべきである.
5.緊急減磁装置作動時に磁場が 20mT になるまでの時間は取扱説明書に記載されている.

答えと解説

1.× 毒性なし、不燃性

2.× 超伝導装置のみ

3.× 外開き、もしくはスライド式

4.○

5.○

46)JIS Z 4952:2012 「磁気共鳴画像診断装置-第 1 部:基本画質パラメータの決定方法」に規定されている項目はどれか.3つ選べ.

1.比吸収率
2.信号ノイズ比
3.2 次元幾何学的歪
4.末梢神経刺激出力
5.ゴーストアーチファクト

答えと解説

1.×

2.○

3.○

4.×

5.○

JIS Z 4952:2012 「磁気共鳴画像診断装置-第 1 部:基本画質パラメータの決定方法」に規定されている項目
1.信号ノイズ比(SNR)
2.均一性
3.2次元のスライス厚
4.2次元幾何学的歪
5.空間分解能
6.ゴーストアーチファクト 
7.上記項目についての不変性試験

47)令和元年 8 月 1 日付で厚生労働省医薬・生活衛生局から発令された「植込み型医療機器等の MR 安全性にかかる 対応について」に関する正しい記述はどれか.
2つ選べ.

1.ASTM や ISO に基づく MR 検査に関する安全性評価をしていない植込み型医療機器を販売してはならない.
2.MR Conditional とするため ASTM の試験規格に基づく MR 安全性評価を実施した場合は B1+rms の値を記載する.
3.ISO 等の ASTM 以外の試験規格により MR 検査に関する安全性評価をした場合は別に厚生労働省に審査申請を行う.
4.MR Safe とする場合は【使用上の注意】の[重要な基本的注意]の項に「一般的な MR 検査による影響はない」と記載する.
5.MR Unsafe とする場合は【禁忌・禁止】の項に「MRI 検査は禁忌とする」と記載のうえ MRI 装置が併用禁忌であることも記載する.

答えと解説

1.× 原則としてやらないといけないが、行っていない場合はMR安全性評価を実施していないと記載する

2.×

3.×

4.○

5.○

48)令和元年 8 月 5 日付で日本磁気共鳴医学会から発令された「臨床 MRI 安全運用のための指針」に関する正しい記 述はどれか.3つ選べ.

1.造影剤の使用削減を求めている.
2.安全管理のために入室者制限を設けるように求めている.
3.メンテナンス関係者にも安全管理体制の整備を求めている.
4.安全管理チームに磁気共鳴専門技術者を含めることを求めている.
5.安全管理責任者に関連団体の安全性講習会に参加するように求めている.

答えと解説

1.×

2.×

3.○

4.○

5.○

49)MRI 検査時の安全性に対する判断について最も正しいのはどれか.

1.酸化鉄を含む刺青も装置が改善されて安全に MRI 検査が可能になった.
2.妊娠初期の妊婦に対する MRI 検査は胎児への影響が大きいので禁忌である.
3.授乳中の患者への造影 MRI 検査は母乳から造影剤が漏出されるので禁忌である.
4.添付文書の記載事項を遵守しない場合は特段の理由がない限り刑事罰則が適用される.
5.ステントの空間磁場勾配の制限値が 680gauss/cm の場合,最大空間磁場勾配が800gauss/cm の MRI 装置では検査ができない.

答えと解説

1.×

2.× 禁忌ではない

3.×

4.× 添付文書の注意に合理的な理由なく従わず発生した事故について、過失が推定される(最高裁判例)

5.○

50)以下の MRI の危険因子に関する説明で正しいのはどれか.2つ選べ.

1.吸引は静磁場によって起こり,中心部が最も強く働く.
2.発熱は誘導電流によって起こり,ボアの端の方で大きく発熱する.
3.クエンチによって液体窒素が気化しても静磁場強度は保たれる.
4.騒音はフレミングの法則に従って静磁場からのローレンツ力によって発生する.
5.末梢神経刺激は変動磁場によって起こり,撮像部位から離れた部位で発生する.

答えと解説

1.× 磁場勾配が存在する場所で強く働くので、辺縁部が強い

2.×

3.× クエンチを起こすと磁場は消失する

4.○

5.○


いかがでしたか?参考になれば幸いです。

試験勉強は大変ですが、引き続き頑張っていきましょう!

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