MRI原理教室①:プロトンが見せる人体の内側の世界
MRI(磁気共鳴画像法)は、医療現場で私たちの身体を詳細に映し出すための重要なツールです
しかし、その仕組みや原理についてはあまり知られていないかもしれません
この記事では、MRIがどのようにして画像を作成するのか、そしてプロトンがどのような役割を果たしているのかをわかりやすく解説します
MRIの基本から最新技術まで、その全てを知りたい方は必見です!
MRIとは
MRIは「Magnetic Resonance Imaging」の略で、日本語では「磁気共鳴画像法」と言います
X線を使わずに、体内の詳しい画像を撮影できる安全な方法です
被ばくの心配がないため、安心して利用できます
MRIはどのように画像化しているのか
MRIは、強力な磁石と電波(RFパルス)を使って画像を作成します
X線やCTとは違って、磁石の力で体の内部を見ているのです
MRIは何を観察しているのか
MRIは、水分と脂肪に含まれる「プロトン」(水素原子の核)を観察します
プロトンは体内の多くの分子に含まれており、特に水と脂肪に多く存在します
以下の表から、核元素の感度と生体中の存在数がわかります。水素原子がMRIに最も適していることが見て取れます
人体は60〜70%が水分で20〜30%が脂質で構成されており、これらは多くの水素原子を含み、磁性を持つ原子核でもあるためMRIの対象となります
磁性核と非磁性核
原子核は磁性核と非磁性核に分類されます
磁性は陽子と中性子の磁気モーメントによるもので、陽子と中性子は反対方向の磁気モーメントを持ちます
そのため、陽子数と中性子数のどちらか一方、もしくは両方が奇数でないとMRIの対象にはなりません
水素(1H)は原子番号1で陽子1個だけの原子核を持ち、磁性核となります
このプロトンは生体内のほとんどの分子に含まれています。
しかし、体内の全ての水素原子核がMRIで検出できるわけではなく、検出できるのは水と脂肪の水素原子核だけです
水と脂肪の水素原子核のみが検出できる理由
人体には1H原子核が水、脂肪、タンパク質、炭水化物、ビタミンなどに多く含まれていますが、検出できるのは水と脂肪の1Hだけです
その理由は以下の2つです
- 量が少ないため、信号が小さく雑音に埋もれてしまう。
- T2(横緩和時間)が短いため、受信時には雑音以下に減衰してしまう
T2などの専門用語は後ほど詳しく解説しますが、今は「検出できるのは水と脂肪の1Hだけ」と覚えておけば十分です
まとめ
MRIは人体に豊富に存在する水素原子核(MRIではプロトンと呼びます)を観測します
生体内の分子のほとんどは水素原子核を含んでいますが、MRIで検出できるのは水と脂肪のプロトンのみです
今回はMRIで人体の何を観測しているのかに焦点を当てました。これはMRIの基礎となる部分ですので、しっかりと理解しておきましょう
それではまた次回お会いしましょう!
MRI認定試験に興味ある方はこちらもどうぞ⇩