MRIとCTの違いを徹底解説!現役放射線技師が詳しく解説
「MRIとCTって何が違うの?」という質問をよく受けます。
この記事では、現役放射線技師の私がMRIとCTの違いを分かりやすく解説し、どちらの検査がどのような場合に適しているかを紹介します。
これから検査を受ける方や、医療に興味がある方はぜひ参考にしてください。
- MRIとCTの原理の違い
- MRI装置とCT装置の見極め方
- MRIとCTの優れた点
MRIとCTの見た目の違い
早速問題です!
次の2つの写真、どちらがMRIでどちらがCTでしょうか?
難しいですね。よーく見比べてみてください。
答えは、、
左の写真がCTで、右の写真がMRIでした。(スマホでは上がCTで、下がMRIです。)
どうでしたか?分かりましたか?
「そんなの分からないよ」という方も安心してください。分かりやすく3つのポイントで解説します。これで貴方も完璧です。
Point1:機器の奥行きを見る
MRI装置はCT装置に比べて奥行きがはるかに長いです。
新しいMRI装置の長さ(奥行き)は約145cmで、CT装置に比べて非常に長いです。
「この機械長いな」と思ったらMRIです。
Point2:人が入るトンネルの大きさを見る
MRI装置のトンネルはCT装置に比べて狭く感じます。
MRIは狭くてうるさいというイメージがありますが、CT装置はトンネル径が大きく、奥行きも短いため、狭いところが苦手な方でも比較的楽に検査を受けられます。
Point3:コイルを使用しているかを見る
MRI装置特有のコイルという道具があります。
簡単に説明すると、このコイルはカメラの役割をしていて、MRIの撮影で欠かせません。
例えば、頭の撮影をする場合には頭部周辺にコイルを設置します。
この3つのポイントを押さえるだけで、MRIとCTの見た目の違いは完璧に区別できます!
MRIとCTの原理的な違い
次に、MRIとCTの原理の違いを簡単に解説します。
MRIとは?
MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、磁石の力を使って体の輪切りの画像を作成します。磁場と電波を使用しているため、被ばくの心配はありません。
MRIの検査中に「ガンガンガン」や「ドンドンドン」といった大きな音がするのが特徴です。
MRIの音をより詳しく知りたい人はこちらもどうぞ
CTとは?
CT(Computed Tomography)はX線を使用して体を画像化する検査です。レントゲンと同じX線を使用しますが、管電圧や管電流などの設定は異なります。
医療現場では、放射線検査によって得られる「怪我や病気の発見・診断」や「治療方針の決定」といった情報が、被ばくによるデメリットよりもメリットが大きいと判断された場合にのみ検査を行います。
レントゲンとCTの違い
レントゲンは、被写体(患者さん)を一方向から撮影し、全ての構造が重なり合った画像になります。一方、CTは被写体を輪切りで表現することができます。
左側の写真が胸部X線写真(レントゲン)で、右側の写真が頭部CTです。(スマホでは上がレントゲンで、下がCTです。)
CT装置の仕組み
CT装置には、X線を出す「X線管」と、X線を受け取る「X線検出器」があります。
このX線管とX線検出器が被写体の周りを回りながら撮影を行い、輪切りの画像を作成します。
原理のまとめ
- CTはX線を使用して輪切りの画像を作る。
- MRIは磁石(磁場と電波)を使用して輪切りの画像を作る。
MRIとCTの違い
次に、MRIとCTのどちらが優れているのかについて説明します。
答えは、どちらも優秀です。
MRIにはMRIの得意分野があり、CTにはCTの得意分野があります。
両方の情報を組み合わせることで、より多くの情報を得ることができます。
何を見たいのかによって、MRIかCTを選択する必要があります。
MRIの画像の強み
- コントラスト分解能が優れている:臓器などの白黒の差がわかりやすい。
- 骨からのアーチファクトがない:アーチファクトとは、実際の物体ではない二次的に発生したもの、エラーを指します。
- 骨や関節領域、中枢神経領域、骨盤領域などの診断能が高い。
CTの画像の強み
- 空間分解能が高い:細かい部位を描出できる。
- 空気が存在する部位の描出能が高い:副鼻腔や肺など、空気に隣接する領域ではMRIに比べてアーチファクトが少ない。
まとめ
MRIとCTの違いを理解できたでしょうか?細かすぎると終わりが見えなくなってしまうので、できるだけわかりやすく説明しました。
最後にまとめ
- MRIとCTの見た目の違い:人が入るトンネル部分が狭くて長いのがMRIです。
- 原理の違い:
- CTはX線を使用して輪切りの画像を作る。
- MRIは磁石(磁場と電波)を使用して輪切りの画像を作る。
- どちらの検査が優れているか:目的により異なるため、どちらも優秀です。
以上参考になれば幸いです
それではまた次の記事でお会いしましょう!
バイバイ