MRI造影剤の役割と副作用【メリット・デメリット解説】
みなさん、こんにちは!
放射線技師のラジブログです
MRI検査で使用される造影剤について、このような不安や疑問を感じたことはありませんか?
- 造影剤って何だろう?
- 副作用が怖いけど大丈夫かな?
- 検査の流れや準備について知りたい
突然の検査通知や聞き慣れない「造影剤」という言葉に戸惑う気持ちはよく分かります。
造影剤は、病変の発見やその性質をより正確に診断するために欠かせない医薬品ですが、その一方で副作用のリスクも存在します。
本記事では、造影剤の基本的な役割からメリット・デメリット、副作用の種類や使用後の注意点までを詳しく解説します。
不安を少しでも和らげ、安心して検査を受けるために、造影剤についての正しい知識を一緒に身につけていきましょう。
- MRIの造影剤とは
- 造影剤を使うことのメリット・デメリット
- 造影剤を使う時の注意点
造影剤とは
造影剤とは、画像にコントラストをつけて病変を発見したり、その性質をより診断しやすくするための医薬品です。
造影剤を使うことで、よりわかりやすく正確な診断ができるよ!
造影剤のメリット・デメリット
メリット
造影剤を使用する最大のメリットは、病変の発見やその性質をより正確に診断できることです。
造影剤を使わない検査を『単純撮影』と言いますが、MRIでは単純撮影でも病変の性質を診断できます。
しかし、造影剤を使用することで、病変がどの血管から栄養をもらっているかや、どの程度浸潤しているかなどの有益な情報を付け加えることができます。
また、造影剤を使用することで発見できる病変もあります。
デメリット
造影剤のデメリットは副作用です。
造影剤は主作用として画像診断に有益な情報を付与しますが、それ以外の反応を『副作用』と呼びます。
特に臨床現場では有害反応=副作用と呼ばれることが多いです。
造影剤を使うことで正確な診断が可能になるけれど、副作用が起きる可能性もあるよ。
造影剤の副作用について
副作用は造影剤を投与してからの経過時間により2つ区別できる。
- 急性副作用:検査中や検査直後の早い時期におこる副作用
- 遅発性副作用:検査数時間後~1週間後くらいにおこる副作用
そして症状により2つに区別できる。
- 軽い副作用:吐き気、嘔吐、動悸、かゆみ、発疹など(3%以下)
- 重い副作用:血圧低下、呼吸困難、意識障害など(0.0065%)
副作用は全員に起こるわけではありません。
また以前に副作用が起きなかった人でも次回の検査で副作用が起きる可能性もあります。
造影剤を慎重投与または投与できない人
- アレルギーがある
- 以前に造影剤を使用し副作用を生じたことがある
- 喘息がある
- 腎臓機能障害がある
などに該当する方は慎重に投与もしくは投与できません。
一人一人の状況により異なりますが、デメリットよりもメリットの方が明らかに大きい場合は投与する場合もあります。
造影剤を体内に入れる方法
体内に投与する方法は2種類あります
- 血管内投与(静脈に注射)
- 経口投与(液体で飲む)
使用する造影剤の種類により投与方法は変わります。
基本的には静脈に注射をして投与する方法が多いです。
造影剤の種類(成分)
MRIの造影剤は3種類あります
- ガドリニウム製剤(血管内投与)
- 鉄製剤(経口投与)
- マンガン製剤(経口投与)
検査の部位により使う造影剤は異なりますが、MRIで造影剤を使用する時にはガドリニウム造影剤を使うことが多いです。
※場合によりガドリニウム製剤と鉄製剤を組み合わせて検査をすることもあります。
造影剤使用後の生活の送り方
MRI検査で造影剤を使用した後の生活について、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。
水分補給
造影剤は腎臓を通じて尿として体外に排泄されます。
そのため、検査後は水分を多めに摂取すること心掛けてください。
- 水分制限がない場合、通常よりも多めに水を飲むよう心がけましょう。
- コーヒーやアルコールは利尿作用が強いため、適度に控えると良いでしょう。
運動や日常活動
- 軽い運動:通常の軽い運動や日常活動は問題ありません。特別な制限はありませんので、普段通りの生活を続けてください。
- 激しい運動:検査直後に激しい運動を行うのは避けた方が無難です。体調に合わせて活動を調整しましょう。
食事
- 通常の食事:特に制限はありません。普段通りの食事を摂ってください。
- 特別な注意:もし医師から特別な指示がある場合は、それに従うようにしてください。
副作用の観察
- 急性副作用:検査後すぐに現れることがあるため、検査後数時間は体調に注意してください。もし吐き気、かゆみ、発疹、呼吸困難などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
- 遅発性副作用:検査後数時間から1週間以内に現れることがあります。気になる症状が出た場合は、すぐに医師に相談してください。
その他の注意点
- アレルギー反応:以前に造影剤でアレルギー反応が出たことがある方は、再度の使用について医師に相談し、慎重に対応してもらうようにしてください。
- 腎機能障害がある方:造影剤の排泄が遅れる可能性があるため、医師の指示に従い、水分摂取などの管理をしっかり行いましょう。
造影剤使用後の生活で特別な制限はほとんどありませんが、水分補給や体調の観察を心がけてください。
万が一体調に変化があった場合は、すぐに医師に相談することを忘れずに
まとめ
- 造影剤を使用する最大のメリットは、病変の発見や病変の性質をより正確に診断できること
- 造影剤を使うことで正確な診断が可能になるけれど、副作用が起きる可能性もある
- 副作用には急性副作用・遅発性副作用、軽い副作用・重い副作用がある
- 造影剤の投与方法は血管内投与と経口投与がある(血管内投与が多い)
- 造影剤は尿と共に体外に排泄されるので、制限がなければ水分をいつもより多めにとる
以上参考になれば嬉しいです。
それではまた!!