海外と比較する日本のMRI・CT装置数と検査件数
みなさん、こんにちは!
放射線技師のラジブログです
「日本のCTやMRI装置の数は先進諸国に比べて多い」と聞いたことはありませんか?
でも、実際に病院に行ってみると、CTやMRIの予約が取れず、早くても3ヶ月後、場合によっては半年も待たされることがあります
そこで、このような疑問出てきませんか?
- MRIやCT装置って足りてるの?
- 日本の医療が他の国と比べてどうなのか気になる
- 検査の予約が取りにくい
MRIやCT装置の数や検査件数は、私たちの医療の質に大きな影響を与えます
そこで本記事では、日本の状況が他の国と比べてどうなのかを調べ、現状を知るための情報を提供します
- 日本と諸外国のMRI、CT装置の台数の違い
- 各国の検査件数の比較
- 日本の医療体制の現状と課題
日本と諸外国のMRI・CT装置の台数
MRI装置の台数比較
MRI(磁気共鳴画像)装置は、強力な磁石と電波を使って体の内部を撮影する機械です。検査時間は通常30分程度です。
以下が日本と他国の装置の数の比較になります
- 日本:100万人あたり約54.8台*1
- アメリカ:100万人あたり約37.8台*1
- ドイツ:100万人あたり約30.0台*1
- イギリス:100万人あたり約10.0台*1
CT装置の台数比較
CT(コンピュータ断層撮影)装置は、X線を使って体の断面(輪切り)を撮影する機械です。検査時間は数分から10分程度と短く、特に緊急時に欠かせません。
以下が日本と他国の装置の数の比較になります
- 日本:100万人あたり約109.7台*1
- アメリカ:100万人あたり約40.0台*1
- ドイツ:100万人あたり約30.0台*1
- イギリス:100万人あたり約10.0台*1
日本は他国に比べて多くの装置を持ってることが分かります
各国の検査件数の比較
次は検査件数を比べてみましょう!
MRI検査件数
装置の台数が多いと検査件数も多くなりますが、実際のところはどうでしょうか?
- 日本:年間約1400万回(約10人に1人がMRI検査を受けています)*2
- アメリカ:年間約500万人*1
- ドイツ:年間約200万人*1
CT検査件数
CT検査も同様に、日本では非常に多くの件数が行われています。
- 日本:年間約2400万回(約5人に1人がCT検査を受けています)*2
- アメリカ:年間約800万件*1
- イギリス:年間約500万件*1
非常に多くの検査が行われているのが分かりますね
日本の医療体制の現状と課題
高い医療技術
日本はMRIやCT装置が多いため、高度な医療技術を提供できる環境にあります。しかし、それには以下のような課題も存在します。
- 装置の維持費用が高い:多くの装置を持つため、維持管理に多くの費用がかかります
- 検査の待ち時間:多くの患者が検査を受けるため、予約が取りづらく、待ち時間が長くなることがあります
諸外国との比較
諸外国では、装置の数が少ないため、検査の優先順位が厳しく管理されています。そのため、以下のようなメリットがあります。
- 効率的な検査:必要な患者に迅速に検査が行われます。
- コストの抑制:装置の数が少ないため、全体の医療費を抑えることができます。
検査数の増加が医療費に与える影響
日本では、MRIやCT装置が多く、検査件数も多いため、それに伴う医療費の増加が懸念されています。
- 医療費の増加:検査件数が増えると、その分医療費も増加します。当然、国民の医療費負担が大きくなる可能性があります。
- 保険制度への影響:多くの検査が行われることで、健康保険制度にかかる負担も増加します。長期的には保険料の引き上げや医療費削減のために制度の変更を招くかも知れません。
医療被ばくについて
医療被ばくとは、診断や治療のために放射線を利用することで受ける被ばくのことです。
特にCT検査は通常の一般撮影(レントゲン)よりも被ばく量が多くなります。
しかし、医療被ばくは適切に管理されており、被ばくによるデメリットよりも検査を行うメリットが高い場合にのみ実施されます。
正確な診断と適切な治療が可能になります。
日本での自然被ばくについて
自然被ばくとは、日常生活で自然に受ける放射線のことを指します。
日本では、以下のような要因で自然被ばくがあります。
- 宇宙線:宇宙から地球に降り注ぐ放射線
- 地殻放射線:地中に含まれる放射性物質から放出される放射線
- 食物:食品に含まれる微量の放射性物質
これらの要因から、日本人は年間約2.1ミリシーベルトの自然被ばくを受けています。
この量は、日常生活で健康に影響を与えない範囲とされていますが、医療用の放射線検査を受けることで、さらに被ばく量が増えることがあります。
まとめ
日本はMRIやCT装置の台数が多く、高度な医療を提供できる環境にあります。
しかし、装置の維持管理や検査の待ち時間といった課題も存在します。
また、医療被ばくの問題や自然被ばくの影響も考慮する必要があります。
そして、検査の増加が医療費の増加につながることも重要な課題です。
他国との比較を通じて、日本の医療体制の現状を理解し、今後の改善点を考えるきっかけになればと思います。
この記事が少しでも皆さんの役に立てば嬉しいです
それではまた次の記事でお会いしましょう!
バイバイ
出典
*1: OECD Health Statistics
*2: e-Stat