検査Q&A

造影剤使用と喘息について:安心して検査を受けるために

radio-neko

こんにちは、放射線技師のラジブログです

今回は、CTやMRI検査で使う造影剤と喘息について、分かりやすくお話しします

造影剤を使うとき、気管支喘息の患者さんは特に注意が必要です

  • 造影剤使用時の喘息発作が心配
  • 咳喘息の場合のリスクが不明
  • 安全に造影剤を使用する方法を知りたい

検査を受けるのが不安な方や、医療現場で働いていてもっと知識を深めたい方のために、このような疑問にお答えします

この記事を読むことで、次のことが分かります

この記事で分かること
  • 造影剤使用時の気管支喘息と咳喘息の違い
  • それぞれの副作用のリスクと対策
  • 安全に医療処置を受けるための具体的な方法

この記事を読んで、安心して検査を受けるための情報を手に入れてくださいね

気管支喘息と咳喘息

医療現場で働く人はしっかりと理解してね

気管支喘息とは?

気管支喘息は、気道が慢性的に炎症を起こし、喘鳴(ぜんめい:息をする時のヒューヒュー音)、咳、息切れ、胸の圧迫感などの症状が現れる病気です。

  • アレルギー、運動、ストレス、冷たい空気などが発作の引き金になります
  • 急性の発作が特徴で、気管支が急に狭くなり、呼吸が困難になることがあります
  • 吸入ステロイド薬や長時間作用型β2アゴニストを使った継続的な管理が必要です

咳喘息とは?

咳喘息は、長期間続く咳が主な症状で、喘鳴や息切れはあまり見られません

  • アレルギーや感染症、冷たい空気が原因となることがあります
  • 喘息のような急性の発作は少なく、夜間や早朝に咳が悪化することが多いです
  • 吸入ステロイド薬やβ2アゴニストを用いることがありますが、咳止め薬が処方されることもあります

大雑把に言えば、

気管支喘息は、気管支が細くなって息が苦しくなり、ゼイゼイと音を立てて呼吸し、時には重篤な状態になります

咳喘息は、気管支がそれほど細くならず、喘鳴がなく、咳だけが続く場合です

ラジブログ
ラジブログ

造影剤の副作用とリスク

気管支喘息の場合

喘息患者は、特にヨード造影剤などに対してアレルギー反応や喘息発作を引き起こしやすいです

  • 気道が狭くなり、呼吸困難を引き起こすリスクがあります
  • 副作用の発生頻度が比較的高いため、事前の予防策が強く推奨されます

咳喘息の場合

咳喘息患者も気道が敏感であるため、造影剤による刺激で咳が悪化するリスクがあります

  • 気道の炎症が悪化することがありますが、喘息患者ほど重篤な気道狭窄や喘息発作を引き起こす頻度は低いです
  • 咳喘息に特化した具体的なデータは少ないですが、一般的には喘息患者よりも副作用の発生頻度は低いと考えられます

造影剤を使用するときに注意が必要なのは、気管支喘息の患者さんだよ

ラジブログ
ラジブログ

安全に造影剤を使用するための対策

造影剤を安全に使用するためには、以下の対策が重要です

  • 事前確認:造影剤投与前に患者の病歴を詳しく評価し、アレルギー歴や喘息の重症度を確認します
  • 予防薬の使用:必要に応じて、投与前に抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用してアレルギー反応を予防します
  • 投与中の監視:造影剤投与中および投与後に患者を慎重に監視し、異常があれば即座に対応できるようにします

ステロイド使用の有効性について

役割

ステロイドは、強力な抗炎症作用を持つ薬剤であり、アレルギー反応や炎症反応を抑えるために広く使用されています

有効性に関する研究

  • 肯定的な研究:ステロイドの予防投与が造影剤によるアレルギー反応を減少させる効果があるとされています
  • 否定的な意見:ステロイドが副作用の予防に大きな効果を持たないとする研究もあります

2022年12月に日本医学放射線学会 造影剤安全性委員会から発表された「ヨード造影剤ならびにガドリニウム造影剤の急性副作用発症の危険性低減を目的としたステロイド前投薬に関する提言」の改訂についてを以下にまとめます

ステロイド前投薬は急性副作用のリスク軽減を目的として行われてきましたが、最新の研究ではその有効性が明確に示されていないため、積極的な推奨は不適切とされています。ただし、現場の混乱や患者の不安を避けるため、担当医の判断で実施することは妨げられません。米国放射線医会(ACR)のガイドラインでも、エビデンスが不足しているものの、多くの専門家が有効性を信じているため、ステロイド(および抗ヒスタミン薬)の前投薬を考慮してもよいとされています。

ステロイド前投薬を行う場合は、緊急時を除き造影剤投与の直前ではなく、検査の6時間以上前に投与することが望ましいとされています。前投薬を行っても急性副作用を完全に防ぐことはできず、副作用のリスクにも配慮が必要です。したがって、事前に十分なインフォームドコンセントを得て、副作用発現時の対応を整えて実施することが重要です。

造影剤による副作用の頻度と種類

次に造影剤による副作用の発生頻度とどのような副作用があるのかを確認しましょう

副作用の頻度

  • 軽度の副作用:3%
  • 中等度の副作用:0.1%
  • 重度の副作用:0.01%

急性副作用

  • 軽度の急性副作用:吐き気、嘔吐、発疹、かゆみ、頭痛、めまい、ほてり感
  • 中等度の急性副作用:重度の嘔吐、広範な発疹、じんましん、気管支痙攣、低血圧
  • 重度の急性副作用:アナフィラキシーショック、重篤な気管支痙攣、喉の腫れ、心停止、血管迷走神経反応

遅発性副作用

  • 遅発性副作用:発疹、かゆみ、関節痛、発熱、胃腸症状(吐き気、下痢)

まとめ

造影剤を使用する際には、気管支喘息や咳喘息の患者に特別な注意が必要です

それぞれのリスクと適切な対策を理解し、安全に医療処置を受けることが大切です

医師や放射線技師とよく相談し、事前の準備をしっかり行うことで、安心して治療を受けることができます

以上参考になれば幸いです

それではまた次の記事でお会いしましょう!

バイバイ

スポンサーリンク
テキストのコピーはできません。
記事URLをコピーしました